文献調査には,情報検索システムをどうぞ!!
本号と次号の2回にわたり,情報検索システムについて,ご説明いたします。まず第1回目の本号では,情報検索の紹介および概要説明等をいたします。
1.情報検索とは
(1)一般的意味
事物に関するある記録された情報を探し出すことを言い,その事物の対象は,物,人,著作物等様々であり,探す手段も,印刷物,データベース等があり,また,探す方法も人力,機械利用いわばコンピュータ利用等があります。昨今のインターネットの検索エンジン等による各種の検索などは,広い意味から,まさに現代的な情報検索といえます。
(2)文献調査的意味
大学・研究機関等において,一般的には,検索対象を学術的な著作物に限定して,情報検索という場合が普通です。学術的な検索という意味からは,検索対象により,以下の種類に分けられます。
全文検索
検索対象が,論文,図書,法律など全文が対象となるもので,法令,判例等は典型的なものです。
また,インターネットで一般的に行われている検索エンジン利用の各種検索も一部この範囲に入ります。
書誌情報検索
あるキーワード(知りたい事柄,主題)に関する論文・著作物等には,どのようなものが,どれだけあるか,また,それらの論文はなんという題名か,誰が,いつ,書いて,およその内容はどの様なものか,そして,その論文等は,どの資料に掲載されているかなどを,調べるものです。
実際には,著作物の目録(所在)情報や論文等の抄録(概要)情報,書誌情報(誰のどの論文がどの資料のどこに掲載されているか)等を検索することになります。
この検索は,文献調査の中核的なもので,通常最も多く行われます。
データ・事実検索
統計データや自然・応用科学分野の数値データ等が対象となるものです。
(3)機械検索的意味
これらの検索は,もちろん人力で印刷物を手段としても行えますが,現在では,端末・パソコンから,事物に関する記録されたデータが蓄積されているデータベースを検索する方法が普通となってきており,このようなシステムを情報検索システムと呼びます。
10数年前までは,外部のデータベースに公衆電話回線で結び,タイプライター型(ディスプレイなし)の端末のキーボードからキーワード等を入力し,その検索結果を印字していたものでした。現在では,パソコンから,データベース提供機関のホームページ内の情報検索システムへアクセスし,グラフィカルな画面により,検索できるもので,簡単・便利・綺麗・迅速なこと,まさに隔世の感があります。
2.情報検索システム
(1)オンライン情報検索システム
ネットワーク(オンライン)を介して,外部等の情報検索システムを利用するものとして,本学では,以下の3つのシステムを利用することができます。
なお,利用対象者は,原則として,本学の教職員となっておりますが,学部学生,院生であっても,教官の許可があれば利用可能です。
これは,これらのシステムの利用が有料のため,国費(校費)支払が必要なためです。
なお,以下の@については,利用者申請を行い利用者自身が検索を行うか,または図書館での代行検索により行います。また,A及びBについては現在のところ,図書館での代行検索となります。
@NACSIS-IRシステム
学術情報センター提供の情報検索システムで,人文社会から理工学まで,センター独自作成のもの,外国からの移植導入のもの,各研究組織からの受入提供のもの等,現在約70位のデータベースを提供しています。国立機関のため,経費が安いのが特徴です。
また,2000年1月からは,インターネットにより,WEBブラウザからの検索が可能な新IR(NACSIS−IR Web Front)となり,さらに利用し易くなります。
AJOISシステム
財団法人科学技術振興事業団(JICST)が提供するもので日本最大の理工学系のデータベースを有し,他にも医学系のものもあり,和訳データを持つため,非常に使い易いものです。
BDIALOGシステム
米国のロッキード社が提供する世界的な検索システムで,人文・社会系,理工系を網羅したデータベースの種類は約500種位と膨大なものであり,特に専門性に優れています。
(2)CD-ROM検索システム
これは,本学図書館内のCD-ROM資料を検索するシステムで以下の2種の使い方があります。
@ネットワークCD-ROM検索
ネットワークに対応するCD-ROMを,学内のパソコンから,図書館のホームページ内のCD-ROM検索システムへアクセスして,利用するもので,現在試行的なものも含め18種のCD-ROMを提供しております。
学術的な文献検索・書誌的検索始め辞書等の事項検索におおいに役立ちます。
A館内パソコン単体利用
図書館内のパソコンにて単独で利用する形態のもので,ネットワーク対応にはなっておりません。約70種のCD-ROMがありますが,学術的な文献検索等に限らない教養的なものも多数あります。
◎次号では,情報検索システムの実際の利用法をご説明いたします。
(附属図書館学術情報係)