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図書館は、すなわち、情報の源、または、情報ステーションと言ってよいのではないか。世界レベルの図書館では、なんといっても、大英図書館。それは学問、文化、歴史、宇宙など全ての情報を擁している。 日本では、やはり国会図書館、日本の全ての情報が納められている。世界各国が入手したいと思う日本の文化、歴史、環境などの情報すべてがある。 さて、室蘭においては、どうなのだろうか。市立図書館がある。しかし、専門的な情報においては、本学の図書館はこれに勝ると思う。最近のメディアは、国民全てにその持てる情報をテレビ、ラジオ、新聞、雑誌を媒体として、まさに湯水の如く流 し続けている。その情報は不確実なものもあって、人々が知ろうとすればするほど、よく調べてみなければならない。その様なときにこそ、専門的な分野の充実している図書館が必要となってくる。 要するに、図書館とは、どのような地域に、どのような目的をもって、つくられたものであっても、その地域に住むあらゆる人々の必要とする情報を提供することのできる場所でなくてはならない。 ちなみに、本学の図書館の現況を見よう。ホームページを開くと、ここ8年間の図書館利用状況がまとめられてい 興味のあるのは、最近8年間の利用状況である。各年度の年間開館日数は平成3年度から大きく変化している。平成3年度は285日、4年度から6年度までは240日前後、7年度以降は270日から280日へと漸次増加している。一方、毎日の平均利用者数は、平成3年度から5年度までは500人台であるが、その後は一気に700人台に増え、さらに漸増して平成10年度には800人に近接している。この利用者には本を借りに来る人、調べものや複写だけで本を借りずに帰る人もいるので、入館者数と貸出し冊数とは比例しない。一日当たりの貸出し冊数を年度別にみると、平成3年度は101(冊/日)、翌4年度から6年度までは120〜115、平成7年度以降は漸減で平成10年度には92(冊/日)に低下している。利用者は職員、学生および学外利用者の3種類に分類されており、この内、全体に対する学外利用者の割合をみると、平成3年度から順に、6.6, 6.8, 7.9, 9.0, 8.3, 8.2, 8.0, 7.1%とあまり大きく変化していない。この数値は本学の図書館が地域に開かれているか否かを判定する数値である。8年間で少しは増えているものの合計の利用者数が6割の増加を見せているのに対して、この程度の変化では伸びているとはいえない。 大学そのものの存在を問われている時勢に、大学の図書館こそ地域に開かれるべきである。私は、本学が全国、または、全世界に向けて、室蘭工大でしか持っていない情報を提供する責務があり、“少なくともこの地域に”開かれた図書館であることが先ず第一歩であると考える。それを実行するにあたり、まずメリットとしては、圧倒的多数の利用者である学生たちが、社会に開かれた場で勉学する機会を与えられることであると思う。いつでも多くの学外利用者が図書館を利用している状態で、学生は接触を保ちながら勉学することができれば、質的な面から学生を励ます結果になると思うし、学生の勉学態度は一歩前進するであろう。デメリットとしては、図書館の職員が不足することが考えられるが、しかし、それは対策を講ずるならば問題ではないと思う。 だが、学外の方々は工大図書館が利用できることを知らないのかもしれない。また、利用可能なことを知っていても足が向かないのかもしれない。この辺の事情は、私を含めて学内の多くの先生方は知らないのではないか。現に、利用者の7〜8%の学外利用者が数値として出されているのであるから、過去にすでに学外利用の案内が地域に向かって出されていたのであろう。学外利用者が一向に増えない様子から、今回、本原稿を依頼された折りに書かせていただいた次第である。できるならば、もっと学外利用者が増えるように何度も地域に働きかけるべきだと思う。 すでに大学は閉鎖社会ではない。本学の諸センターは、現在までに、地域の人々が必要としている情報を提供し、また、しようとしている。しかし、これらは工学系の分野に限られており、学外の人々とのつながりとしては、決して大きいものとは言えない。 そのことを考えると、図書館の地域への開放は、老若男女、学びたいと思う人たちにとって、図書館を通じて大学を理解する最善の道となるのではないだろうか。大学の開放の扉は、図書館の扉を大きく開くことによって、より大きく地域に理解されるようになるものと考える。 |
(むかいだ・けんいち) |